2日め
念願の露天風呂に入る
朝ご飯も囲炉裏を使います。一夜干しだったか…干物と聞いて戦々恐々としていましたが、程よい柔らかさで美味しかったです。これ、家でも食べたいなあ。
旅館の朝食というと、ご飯!海苔!お味噌汁!塩鮭!みたいなのか、ハム・千切りキャベツ・スクランブルエッグが魚が載っていそうな角皿で出てくるというイメージがありますが、温泉旅館なのでちゃんとしていました。(完全に余談)
食後、露天風呂が空いていたので、急いで入ってきました。
やっぱり露天の方が気持ちいいです。温泉気分になります。旅情です。眺め自体は山の中なのであまりありませんが、静かな森のなかで、木と雪だけを見ながら温泉に浸かるのも落ち着いて良いものです(そりゃね)。ついつい長居してしまいました。
都会生まれ・都会育ちなので雪が昔から好きなので、今でもついついはしゃいでしまい、写真が増えてしまいます。
田沢湖畔で誰も降りない
のんびり露天風呂を楽しんで憂いがなくなったので、宿を後にします。
宿の一角にあった、角館の名産工芸品、樺細工を使った箱です。個人的に気に入りました。樺細工の職人さんからすると、樺細工自体がアクセントに入るのは許せないのかもしれないですが、しかしデザイン性があるなあと思います。お金持ちになったら欲しい。
外は晴れです。角館の市街地と比べると雪だらけです。バスを待つ間に、お土産に「つるまんじゅう」を買い、周りの写真を撮るなどしました。
日本秘湯を守る会です。本当に秘湯が好きなら、旅行会社なんて使うなよというプライドのようなものを感じます。日本秘湯を守る会、名簿が本になっていますが、書店に卸して無いんですよね。そこもなんだか。でも、秘湯好きなら10件廻ると1件無料というのは、お得そうです。上手くブランド化していて凄いと思います。山奥という立地が却って価値になるんですから。
送迎バスでアルパこまくさに向かいます。途中、真っ白な秋田駒ヶ岳が見えました。かっこいい。夏はお花畑が綺麗で、アルプスほどは険しくなく女性的なイメージですが、冬は白い雪に覆われて凛々しさがあります。
かなり上の方までスキー場のリフトが付いているんですね。スキーは好きなのでいつか滑ってみたいですが、麓から見ると自然破壊の象徴にも思えます。その分登山の利便性も高まるのですが。しかも最近のスキー場は供給過多とかで軒並み経営が苦しい。複雑です。
アルパこまくさは、ビジターセンターと日帰り入浴施設が合体したような施設です。コマクサの群落を再現したコーナーが本格的でした。脇にヘルメットが置かれていたり、噴火時には災害本部になる説明など、目の前にある山は火山なのだと再認識させられます。
(今回は時間がなくて撮っていないのですが、バスの中から見た)天使の梯子(雲の隙間から漏れる光のこと。知らないと調べられない呼称で有名ですね)が田沢湖に落ちる様子などとても綺麗でした。
田沢湖畔で降ります。冬はシーズンオフなのか、降りたのは自分1人だけでした。ここで周遊バスに乗り換えます。時間があるのでレストハウスで食事を取ります。
レストハウスは全体的に年季が入っていて、大丈夫なのか少し心配でしたが、韓国からの団体さんなどで食堂は賑わっていました。反対側に秋田犬が見られる施設があるのですが、経営が傾くと動物がまず割を食いそうで…どうなのでしょう。
急いでいるのに稲庭うどん鍋などを頼んでしまいました。うどんとご飯かあとギョッとしましたが、このお漬物がご飯にとても合い、気が付いたら完食してしまいました。美味しかったです。
田沢湖です。外輪山が綺麗に反射しています。透明度が比較的高く、いい日は「田沢湖ブルー」が見られるそうですが、今日は残念。曇天だからでしょうか。
バスにお客さんがいない。
ここからは、今運行中の田沢湖~角館 周遊バスに乗ります。(元は田沢湖一周線に乗るつもりだったが、バス停に張り紙があって存在を知った。)しかしなんと、誰もいません。エーッ。
運転士さんにその場で切符を購入します。一日乗り放題2000円です。今は急いでいて途中下車しないので、ちょっと割高ですが、時間と角館~田沢湖の新幹線代までを天秤にかけたら乗ります。 切符、シリアルナンバーが1番でした。運転士さんも「このバス運転するのはじめてだからさ~」と、マニュアルを見つつスタンプを押したり。のんびりしています。
仙北市が運行すると思っていましたが、バスは羽後交通で、なら券も共通にすればいいのにと思わなくもないです。
田沢湖自体は、大きさ(日本で19番目)の割に、水深は400m程度あり日本一深い湖です。火山のカルデラを見た経験がないと、目の前の湖がそんなに深いとイメージしづらいのではないでしょうか。そんなに深いとうかうか泳げなさそうですね。溺死したら浮いてくるんだろうか…。 晴れていれば、それは綺麗な青色に見えるのだそうです。が、この日は曇天であまりパッとしない。
田沢湖のWikipediaによると、人工河川で水位調節をしているらしいです。流れ込むのは玉川で、あの強酸性の玉川温泉の源泉が混じっています。そんな強烈な水が流れ込んだせいで、漁業と下流の農業がダメになってしまった歴史があります。玉川温泉は強酸性の湯が売りなのですが、下流にとっては玉川毒水と忌むものだったようです。
最近では、田沢湖から姿を消し絶滅したと思われていたクニマスが、富士山麓の西湖で見つかったとニュースになりました。自分もニュースで見た記憶があります。世の中は広すぎて複雑すぎて、何が起こるのか見当つかないですね本当。
また、湖底は謎の白い沈殿物で覆われているらしいです。誰か成分分析したりしたんでしょうか。21世紀になっても分からないことは意外と身近にあるのが不思議です。
御座石神社です。本当は降りてゆっくり観たかったですが、仕方ないです。時の藩主佐竹義隆公が腰掛けて休んだから御座石。うーん。御座石というと、全国各地にみられる普遍的な名前ですね。歴史は長いようですが、以前はなんと呼ばれていたのでしょう…。
たつこ像です。金箔なんだとか。バブルの遺物かと思っていましたが、そうでもなさそう。辰子伝説にあまり興味がなくて、ここはこれで終わり。
ここからカルデラの外輪山を越え、秋田内陸縦貫鉄道のある谷筋に向かいます。この辺りで、バスの運転手さんから上桧木内の紙風船上げがとても綺麗なのだと話を聞きました。火の付いたものを流す/飛ばす祭りって広くありますが(竿燈すらそうらしいですね)、火にご先祖の魂などを見出す気持ちって誰にでもあるものなんでしょうか。
角館の武家屋敷脇の駐車場でバスを降ります。
武家屋敷再び(商人街を中心に)
まずは、前日行きそびれた樺細工伝承館を訪れました。
ここでは、職人さんの樺細工を作る実演を見ることが出来ます。また、初期の樺細工の印籠などの貴重であろう資料もあります。最後の方には郷土資料なども展示されています。
売店にはちゃっかり白岩焼などもあります。ここの湯呑み、気に入ったので帰ってから欲しくなってつらくなりました。2階の一部はお洒落なカフェ。
樺細工、伝統工芸としての価値は認識しているつもりですが、いざ買うかと言われると買えない…。買い手がいないと伝統の技を後世に残すのは難しそうですが、昔は生活に食い込んでいたこういったものが大量生産・大量消費の社会になって需要が少なくなり厳しそうなので、若干の心苦しさがあります。
次に、南にある田町武家屋敷群を見に行きます。武家屋敷というと北(内町)の武家屋敷のイメージが強いですが、南にも西宮家、数軒あります。
途中、「外町資料館たてつ」に寄ります。外町は商人さんが住まうところだったのでしょうか。ここはここで大きいです。お庭は冬だからか入れませんでしたが、建物の中を見ました。土間というより通路が奥まで続いています[???]。
歩いていくと、まず安藤醸造元があります。
ここでも蔵を見学できます。襖絵や雛人形(どこも飾るのですね)などが立派です。鴨居にも黒い蝶の飾り?が付いています。中々精巧。まさにお屋敷という感じ。
醸造元だけあって、本来のお仕事であろうしょうゆや出汁の販売もしていて、お客さんが頻繁に出入りしています。
通りの反対側にも大きなお屋敷があります(非公開です)。
歩いていたら、なんだか古そうな(しかも戦前、それより前か)工場に出くわしました。眺めて数秒、毎度お馴染みの登録有形文化財のプレートに気が付きました。どうも製糸工場だったよう。角館は武家屋敷が特徴的ですが、こういう近代遺産も残っているのですね。壊さなくても良いくらい土地が余っていたのか、倉庫がベストな用途だったのか。
ここからは田町の武家屋敷の中で一番見栄えのする通りを歩きます。内町よりは私生活を感じますが、こちらも負けず劣らず左右に木が並んでいます。途中、田町武家屋敷ホテルがあります。よくガイドブックで紹介されていますが、外見が思ったより新しく見えます。
何故かある博物館。あとで調べたら、新潮社の創設者が角館出身だとか。
西宮家に寄ります。ここは今までで一番敷地が広かったように思います。同級生のお家がこれだったら、遊びに行った時度肝を抜かれますね…。蔵が3つ4つあり、レストランにショップも2つくらいあります。あいにく閉館間際だったことと、本館は団体貸切だったため、蔵を2つほど見ただけですが。維持するのも大変なのでしょうけれど。隣がNTTの巨大なビルなのは、どうかと思いますが…。
駅に戻ってきました。部活帰りの高校生が待合室にいました。田沢湖線の各駅停車って7本/日らしいですが、それを通学の足とするとは。乗り遅れたら親御さんの車送迎になるんでしょうか。まさか半休?
少し時間があるので、まずはお土産をそろそろ買うことにします。悲しいかな角館駅前でお土産を買おうとすると、自分が行った時(日曜夕方)は
- 地酒ふじた
- 唐土庵(和菓子屋。生もろこし、桜ほろほろ等)
- NEW DAYS(土産菓子など少々)
が空いていました。総合ショップなどはない模様。自分はお酒をふじたさんで購入しました。日本酒に詳しくないので「純米(系)で、2500円前後で、珍しいのを!」とリクエストしたら、やまとしずく 純米大吟醸をお薦めされたのでそれを購入。帰ってから飲んでみましたが、冷やすとそれはもう美味しかったです。確かに東京だと見ませんが、何店舗かには流石に卸しているでしょう…ハセガワ系列?とか行くとあるのかも。
他のお土産は、空港の方がありそうなので保留に。
新幹線で秋田に向かいます。秋田までは結構時間がかかります。大曲では進行方向が逆になるのですが、その次が終点ということもあるのか誰も椅子の向きは逆にせず。
お土産をいっぱい買ってしまう
秋田駅に着きました。秋田は結構大きいですね。西武もあるし、LOFTに無印良品にスタバに…地方都市の印象が改まりました。
リムジンバスで空港に向かいます。席は大半埋まっていました。新幹線が通っているのに、飛行機結構人気なんですね。
地方空港ではありますが、(勿論)オホーツク紋別よりは広かったです。でも紋別のほうが新しかった、かも?
搭乗まで40分位だったので、ご飯を食べるにはちょっと短く、お弁当(俗に空弁)を買おうかと思ったのですが、さんまの押し寿司1つしかありませんでした…。
旅行中は荷物が増えるのを嫌ってお土産を買わず、秋田駅では買う時間がなく、結局空港で買っていきます。お土産屋さんは広くて品揃えもよく、結果的には功を奏しました。
自分は旅作の特典のANA FESTA 10%引きを使おうとしたので、ANA FESTAで買いましたが。
まずはハタハタ寿司。寿司というか酢で〆た?青森で夏見て以来、気になっていて東京で探していたのですが中々見つからず。あったのでこれはまず購入。コスパはいいと思います。
次、うんめぇ漬けというのが気になりました。秋田の名産が盛りだくさんです。これも購入。
あと金萬です。秋田銘菓らしいですね。自分は初めて知りました。食べたことがなかったので、折角だしなとこれも買ってしまいました。
空港で物を買うと、いつも冷凍品の扱いに困るのですが、まあ2時間程度ですし大丈夫でしょう。
全部で3000円くらいです。結構使いました…。
飛行機はこの日何故かB767でした。2-3-2で余裕があります。しかし…搭乗率はお察し(ちなみに、前年2016年2月のANA国内線の平均利用率は63.0%、羽田秋田線は55.6%)。
帰路は夜で天候もそこまで晴れておらず、夜景とも縁なく羽田に着きました。羽田、降下する直前まで雲の中で、結構揺れていました。
羽田から自宅に帰り、無事今回の旅終了です。(どうでもいいけれど、羽田からの交通機関の支払いにクレジットカードを利用させて欲しい。特に電車の自動券売機。)
秋田雑感
秋田…その中で中央部の角館・田沢湖・秋田だけ訪れたのですが、すぐ出てくる感想としては「観光はいいね!」「でも住むのは考えちゃう」でした。
観光資源、これはもう文句なしです。東京のモノの消費ばかりの生活からしたら、たまにこういう所を訪れるのは息抜きにも刺激にもなっていいですよね。
一方、住んで働いて骨を埋められますかと言われると、ちょっと。まあ、人によって向き不向きがあって、たまたま自分に向いていないだけかもしれません。○活直前なので、そういう身の振り方に関することをどうしても頭の片隅で考えてしまいます。ここに生まれ育ったなら、どういう教育を受け、どういう職に就けるのでしょうか。若い人にとっての魅力とは。イタリアとかだと生まれた場所から離れない人が多い印象が(勝手に)ありますが、日本ってあんまりね。自分でもやはり仙台や東京に出てしまいそうです。理工系出身だとして…ここで活かせるんでしょうか?
秋田県、お米「あきたこまち」に代表される第一次産業と観光産業が栄えているイメージですが、人口流出の度合いが激しい県でもあるようです[要出典]。地図上では広く感じますが、人口は100万人強で、例えると大体世田谷区(91万人)でしょうか。ビジネスにはヒト・モノ・カネの3つが必要とよく言われますが、全てが果たしてあるのでしょうか。
こんな邪念に捕らわれず観光を楽しみたいですが、観光できるのも誰かが観光資源としてビジネスにつなげようとするからこそ、というと言い過ぎなのかもしれない。が、誰もいなければ(代わりがいくらでも居るかもですが)観光は難しく、資源も荒廃していってしまうでしょうし。
まあでもご飯は美味しいし、住んだら住んだで休日に温泉とか観光とかして楽しめるかもです。カフェとコンビニは意外とありましたし、秋田駅前はそれなりに栄えていたし。