働きたくない

5000兆円欲しい

イラン・イスラム共和国旅行―準備編

2019/12/27~2020/01/07に、イラン・イスラム共和国(以後イラン)を旅行した。 その際に知った情報を、ここに備忘を兼ねてメモする。 自己責任で使用してほしい。

ガイドブック

地球の歩き方 2017~2018年度版

定番。但し、イランは総ページ数が195と少なめ。
内容は、定番ルートのエスファハーン・シーラーズ・ヤズド・テヘランと、タブリーズ・アフヴァーズ・ケールマンシャー・マシュハドに絞られている。他の街や孤立気味な世界遺産はあまり…。
次刊の発行予定は2020年4月以降だそう(地球の歩き方ガイドブック 最新刊と次回改訂予定 | 地球の歩き方)。
2014-2015年度版を境に、ページ数が大幅に削減されている。2011年11月よりイラン航空が成田線を休止したが、その影響だろうか。
目次を眺める限り、ガズウィーン・ゴム・オルーミーイェ・ハマダーン・アルダビール・ラシュトあたりが昔は入っていたらしい。

表題 発行年月日 ページ数
2017-2018 2016/12/23 192
2014-2015 2014/3/1 192
2012-2013 2011/12/10 320
2009-2010 2009/4/11 313
2007-2008 2007/3/3 313
2005-2006 2004/12 316
2003-2004 2002/11 319
2001-2002 2000/11 312
1999-2000 1999/3/1 300

Lonely Planet Iran

みんな大好きロンプラ。もちろんイラン版もある。 https://www.amazon.co.jp/Lonely-Planet-Iran-Travel-Guide/dp/1786575418/

・Iran Tourism and Touring Organization itto.org (NGO)

https://www.itto.org/

ガイドブックではないが、写真と情報量が比較的豊富。イランへのモチベーションを高めるのにいい。

Visa

査証が必要。時間がかかるので気をつけよう。

基本的には、在日本イラン・イスラム共和国大使館のページ(https://japan.mfa.ir/jp)に従う。 (ドメイン変更中でgoogleから上手く検索できない)

領事部申請案内:https://japan.mfa.ir/jp/GeneralCategoryServices/10523

事前申請なしに空港でアライバルが取得できるのかもしれないが、少なくとも在日イラン大使館のページにはそのことの記載がない。ネットで調べる限り、事前申請(2500円)のほうが安い。

順序
  1. e-Visa申請(こちらから:http://e_visa.mfa.ir/en/Rejectされる可能性も入れて、目安は2週間前なら安心)
  2. Verifyされ次第、e-Visaで指定した場所でVisa受け取り(東京のイラン大使館(郵送可)or エマーム・ホメイニー国際空港
  3. 空港では直接入国審査の窓口へ。直ぐに入れる
①e-Visa申請
  • 時間がかかる。気をつけよう(ネット上には高速対応を謳うサイトも幾つかある。あながち嘘でもないとか?急いでいる人はそれも一考)
  • 今回は12/14(土)申請 → 12/16(月)9時頃に1発でaccept
  • occupation(職業)は"office worker"、Iran国内住所・電話番号は、まだ予約していないホテルのものを適当に記載した
  • パスポートは家庭用コピー機でスキャンし適当にリサイズした
  • 顔写真はFUJIFILMの証明写真機で撮影し、入手した白背景のデジタルデータを使用した
  • 在日イラン大使館での発行に要する日数も考慮の上、場所を選ぼう

写真の条件が結構厳しく、曲者(ref:https://evisatraveller.mfa.ir/en/request/digital_image_requirement/?title_name=photo)。以下に抜粋する:

  • デジタルデータで提出
  • Taken within the last 6 months to reflect your current appearance(6ヶ月以内に撮影したもの)
  • Taken in front of a plain white or off-white background(白背景
  • Taken in clothing that you normally wear on a daily basis(普通の服で撮れ)
  • Eyeglasses are not allowed in visa photos, except in rare circumstances when eyeglasses cannot be removed for medical reasons; e.g., the applicant has recently had ocular surgery and the eyeglasses are necessary to protect the applicant's eyes.(メガネは外せ
  • Photos digitally scanned from driver’s licenses or other official documents are not acceptable. In addition, snapshots, magazine photos, low quality vending machine or mobile phone photos, and full-length photographs are not acceptable.(画質良く撮ってくれよ頼む)

向こうがどこまで見ているのかわからないが、ルールをきちんと守ろうとすると結構大変だ。特に白背景が面倒(近所の証明写真機は青背景になるため)。調べたところ、富士フィルムの運営している証明写真機ならば、背景色の変更・デジタルデータ出力が可能のようだ。

証明写真ボックス : 富士フイルム [日本]

2. Visa受け取り

大使館の受付が午前のみのようなので、レターパックで郵送した。

  • 12/18(水)投函 → 12/19(木)到着
  • 12/23(月)14時に"I.R.Iran Electronic Visa"というメールが来る
  • 12/23(月)17時 引受 → 12/24(火)投函
  • 返送されたものは2点:パスポートと、"Electronic Visa"メール添付のpdfを印刷したもの

  • 返信用封筒もレターパックとした
  • 同封するVISA GRANT NOTICEは、メール添付の.pdfのことで、サイトからDL可能な"VISA APPLICATION SUBMISSION NOTICE"ではないため注意
  • VISA GRANT NOTICEは、指定の通り、片面印刷した。ホチキスやクリップでは留めていない
  • 「ビザ申請フォーム」(顔写真付)は「領事部からの要請がある場合にのみ記入して提出してください」とあったため未同封
参考

-【ビザ申請必須】イランビザ申請に必要なビザ発給許可番号の取得方法まとめ – モラトリアムを全力で謳歌する大学生のブログ - イランのビザを郵送で申請してみた | なまろぐ

金銭

為替レート

トマン・リアル問題はやっぱりややこしいので、迷ったら聞くが吉。電卓が役に立つ。

ただ、自分の感覚としてはだいたい次のような感じ:

両替(イラン)

  • 空港なら2Fに両替所あり。レートはbonbastより少しずれている(1 USDについて、Sell = 129900 IRR、Buy = 127900 IRRだった)。また、外貨に戻す際に「USD無いからEURでよいか?」と言われた。そう言うこともある
  • テヘラン市内ならFerdowsi駅からFerdowsi通りを南に行くと両替屋が沢山あり。店頭にレートが書いてある。ほぼbonbastレート(前日くらいのものが反映?)。ただし一部はアラビア数字表示
  • シーラーズなら城塞手前のZand交差点~Shohadaロータリーあたり。
  • 店を構えるタイプの両替屋の他、店の前に屯して"Exchange?"と聞いてくる人たちも沢山いる(しつこくはない)
  • 100 USDを替える時は、500,000 IRRチェックで貰わないと、50,000の札束になったりするため注意。

両替(日本)

マネパFX空港受取
  • 手数料 = 事務手数料500円 + FXのスプレッド(0.3銭/ドル)。両替額が大きいほど得。
  • 注意:受取時間に限りあり(特に成田は18時まで)
  • 注意:両替の時間にも限りあり(FXの営業時間)
  • 注意:申し込みは数営業日前までなので確認すること
大黒屋

スプレッド意外と薄め、成田で小銭を量産しない点だけで推せる

  • 手数料 = 為替スプレッド(最低2円/ドル。店舗によって異なる。有楽町ITOCiAは2円/ドル、五反田は2.25円/ドルだった)
  • 店頭で全部$100札に両替すると、0.5円/ドルだけレート優遇
  • 小額紙幣($1, 10, 20等)もある
  • 成田は基本的にスプレッドは最低2.5円/ドルのイメージなので、こちらのほうが安い?
LINE外貨両替

SBJ銀行がやってるやつ

クレカ

  • 使えません(絨毯屋は別)
  • ただし、ホテル・バス・鉄道の予約とかは、旅行代理店(1stquest等)で予約するとクレカ使用可能。その点現金を失ってもなんとかなる
  • 決済ネットワークの全体像が全く分からないけれど、米系(Visa, Master)だけでなく、中国系(UnionPay)とかも使えない。一応UnionPayやJCBと提携のニュースが出てはいるのだが…
  • 旅行者は必然的に少なくない額の現金を持ち歩く羽目になる。それを忌避すべく、外国人向けのデビットカードが存在する模様。但し、発行に20€程度の手数料がかかる。また、残高預け先の信用リスクがあったり、カード関連のトラブルが新たに発生する可能性がでてくる。

私が見た限りでは、イランの銀行間ネットワークはShetab Banking Systemというらしく(https://en.wikipedia.org/wiki/Shetab_Banking_System)。 これが2016年にJCBやUnionPayと繋がる予定だと2016年に発表されたものの、その後は何も音沙汰ないようだ。

Director of Payment Systems Department of Iran’s Central Bank announced‌ the entrance of payment processing networks such as Japan’s JCB and China’s UnionPay in the next couple of months.

ISNA reported that according to Davoud MohammadBeigi, Director of Payment Systems Department of Iran’s Central Bank, Iranians will soon have access to international payment cards from Japan’s JCB and China’s UnionPay.

出典:http://techrasa.com/2016/03/01/payment-cards-from-japans-jcb-soon-to-be-issued-in-iran/

航空

イランは国土面積が日本の4倍以上の国なので、バスや鉄道だと10時間超えの移動がしょっちゅうのようだ。そのため、航空機により移動したくなるのだが、これまた一筋縄では行かない。

IKAとTHRの話

  • ShirazへもQatar航空等が就航しているが、高かった
  • Tehranでは、国際線はイマームホメイニー国際空港(IKA, فرودگاه بین‌المللی امام خمینی, Imam Khomeini International Airport)を、国内線はメヘラーバード空港(THR, فرودگاه بین المللی مهرآباد, Mehrabad International Airport)を使用するようだ
  • skyscannerでは、このIKA - THRを移動し乗り換えるプランは出てこないようだ。HND - NRTが出てこないのと同じか
  • IKAとTHRは結構離れている。地味に不便だ。成田に国内線が就航していることの有り難さが分かる(使ったこと無いけれど)。

航空会社の話

しかし、事故機はスペアパーツ不足のため、約7年間もの間運航停止処分を受け[誰によって?]ており、最近運航を再開したばかりであった[2]。そして事故発生の数週間前には機体が技術的な問題を抱えていた事が分かっている[2]。

イラン人ジャーナリストは、イランに対する経済制裁によって新しい航空機や予備パーツが入手できず、老朽化した航空機で運航せざるを得なくなった事が、事故の原因になったのではないかと考えている[17]。

出典:イラン・アーセマーン航空3704便墜落事故 - Wikipedia

エマーム・ホメイニー国際空港からテヘラン市内へ

エマーム・ホメイニー国際空港テヘラン市内からかなり遠いので、市内に行くには時間がかかることを覚悟しよう。

自分は地下鉄を使用。ただし物価が安いのでタクシーでも良い気がする。

  • メトロは 80分に1本 …。この点だけでもタクシーを使う価値があると思う
  • 駅は、2F出発ロビーを出て、道路を渡った反対側に行き、建物に入り、動く歩道で進んだ先の左右に入り口あり
  • 料金 90000 IRR。空港駅窓口で買う
  • 列車は隣駅Shahr-e Aftabまでのシャトル運行。ここで対面の車両に乗り換え。次のShahed駅から1号線本線に合流
  • テヘランメトロは昼でも結構混む。ましては朝夕のラッシュは地獄なので覚悟を。避けたほうが良いと思う。かなり。

(参考)空港駅からのメトロ時刻表

テヘラン市内からエマーム・ホメイニー国際空港

メトロを使った。しかし、空港から来るより空港に行くほうが、80分に1本 の列車にタイミングを合わせる必要があって大変だと思う。

  • エマーム・ホメイニー国際空港行きの列車は、一つ手前のShahr-e Aftab駅までのシャトル運行のため、まずShahr-e Aftab駅に行く必要あり
  • 具体的には、1号線に乗る。来た列車の前面の行き先表示を見て(k = "ک"かSh = "ش"かで判断)、運良くShahr-e Aftab行きであれば乗り続ける。そうでなければ(Kahrizak駅行き)、Shahed駅で降りる。そしてShahr-e Aftab行きに乗り換える。
  • Shahr-e Aftabに来たら、反対側ホームの列車に乗り換え(駅員がそう叫んでいる)

(参考)Shahr-e Aftab駅からの空港方面の列車の時刻表

鉄道

  • 基本的にはイラン国内でしか予約できないようだが、旅行代理店を通すか、または次のサイトで購入可能な模様。
    • UNOFFICIAL HOMEPAGE OF IRANIAN RAILWAYS https://www.iranrail.net/index.php
    • 但しこのサイトは公定レートを使っているようで、割高
    • また、1ヶ月前にならないと予約出来ないようだ
  • Tehran駅から乗る際、「外国人は改札手前左にあるPoliceでパスポート確認が必要」 と言われたので気をつけて
Iranrail

事前にTehran → Shirazの夜行列車を予約した。

  • Markar Travel Agencyという代理店経由の予約。ただし、代理店サイトより使い勝手がよく感じる
  • カード支払い可能。イタリアの会社経由の模様
  • 12/11(水)明朝に予約 → 12/14(土)にチケットが届いた。一応"7-10 days"は待ってねとメールに記載がああったので、それくらいは覚悟が必要かもしれない
  • チケットはPDF、ほぼペルシャ語
  • 印刷が望ましい。車内で一時回収された

ホテル

  • Booking.comでは出てこない
  • Apochiとか1stquest(イランの旅行代理店https://1stquest.com/Googleホテル検索はこれが出てくる)ではそこそこ出てくる。どちらもクレカ○。

Sim・通信事情

Sim

注意点:タクシー配車アプリ(Snapp)を使いたいならば、SMSを使えるプランにしたほうが良さそう。

エマーム・ホメイニー国際空港の出てすぐのところに、Irancellと他2社のブースがある。 私はIrancellで購入。要パスポート。 旅行日数等を聞かれ、以下のどちらにするか聞かれた。

  • 3GB 500000 IRR(five hundred thousand real、430円くらい)
  • 5GB 700000 IRR(seven hundred thousand real、600円くらい)

公式ページで言うVisitor SIM(https://irancell.ir/Portal/home/?263989/visitor-sim)だろうか。

その場でActivateもしてくれる、1時間程度で使用可能となる。

電波の調子は、都市部は大体OK(ただし屋内は微妙)、田舎は場所によりけり。

Apps

自分が使っていたものを書く。

  • Tehran Metro:テヘランの地下鉄案内アプリ。英語あり。路線図と時刻表が結構便利
  • Tehran Public Transport:テヘランの乗換案内アプリ。特に路線バスはこれを見ないと乗りづらい。残念ながらペルシャ語オンリーだが、なんとか使える。
  • Snapp:タクシー配車アプリ。地元の人は皆これ使いなよと言ってくる。 最初SMSが受信できる必要あり
  • Mapy.cz:オフライン地図。別にイランに限らないけれど、公衆トイレ情報が地味に役立つ

VPN

必要。日本にいる内に対応するのが望ましい

  • 自分でVPNサーバーを立てておく(私は光回線終端装置RS-500MIのを利用)
  • VPNアプリを入れる
  • 有料サービスを使う(自分は、ShadowsocksのVPNサービスを提供するBlueSurfaceを試しに使っていた。)

私はAndroid使いなのだが、Androidでは無料のVPNソフトは幾つかあるものの、物によって使えたり使えなかったりした。

公開VPNサーバーを使う方法もあるが、有名な筑波大の公開VPN中継サーバープロジェクト(https://www.vpngate.net/ja/)は、そもそもアクセスできなかった。

ニュースサイト

アフルルバイトについては、聖都コムの神学校で上級*3を卒業しホッジャトル・エスラームとなった日本人初の法学者イブラヒーム澤田さんという方がいらっしゃるようだが、その方と関係あるのかな?

イランのTV放送はすべてIRIBが作っているので、その日本語版サイトがあるのは助かる。 Pars Todayの「イランの食文化」「イラン観光の魅力」は写真が豊富なので見ていて楽しい。

イランは独特すぎるので、気になって少し本を買った:

エリア・スタディーズは世界を幅広くカバーしていて、内容も文化・経済・社会・人々の生活…と一通り網羅している(そして現代社会に関する記述がきちんとある)ので、最近旅行前に読んでいる。

行って実感したことでもあるが、読めば読むほどイラン(ペルシャ)はイラン(ペルシャ)であって、決してアラブではないのだなと思えてくる。 (ただし多民族国家という側面もあり、例えば湾岸地帯のうちフーゼスターン州ではアラブ人が多い)

イランといえばカナートの本も読んでいる:

  • カナート イランの地下水路, 論創社, 岡崎正孝, 2000

中高だかで習ったときは、「カナートと呼ばれる地下水路があります」程度で、「乾燥地帯なのに穴が掘れるのか(砂沙漠を勝手に想像していた)」「乾燥しているのに水があるのか」等疑問が尽きず全然理解できなかったが、読んでやっとぼんやり理解してきた。アケメネス朝ペルシャの繁栄を支えた等々…。

まだ読んでいないが、イスラム共和制を理解する上では目を通したほうが良いであろう1冊:

現代イランを形作るイスラム共和制政体を成立させた張本人ホメイニー師によるヴェラーヤテ・ファギーフ(法学者の統治論)の本(という理解)。 日本語訳があることに驚いた。

憲法

その国がどんな国であるか、特にどう治められているか、を知る方法の一つに憲法を読むことが挙げられるかと思います。そんなイラン・イスラム共和国憲法は、日本ではメジャーではないためかあまり見かけない。自分が見つけたのは以下。

その他

雑多なリンク集

イランの原子力開発について。これはちょうどイランが核合意を認めた頃までの話。日本原子力研究開発機構(JAEA)運営。

よくまとまっている。第三者目線なのでよい。

非居住者であっても、テヘラン証券取引所において有価証券を取得することは可能。

イラン革命前後に詳しい

  • Learn Persian - Persian in Three Minutes - Greetings - YouTube

分かりやすかった。これを見てからバーザールに行ったら、おじさんがサラーム、チェトレ?と聞いてくるのがわかった。

www.youtube.com

このページで紹介されているDon't go to Iranという動画がいい。

www.youtube.com

~シリーズ 世界のライフスタイル~ 10年ぶりに開放されるイラン市場 世界が注目するテヘランの今 | ライフスタイルリサーチャー イランの正月、日本と案外似ている!? 十二支あり、お年玉あり……

*1:内部収益率ではない

*2:ペルシャ語の読みはریال riyāl リヤールらしい。Wikipediaより

*3:3クラスあるらしい。入門・標準・上級

*4:Amazonで中古で購入したら、著者の謹呈本らしきものが届いた…