巷でガルバニック絶縁を試している人がいたので、私も試してみた。 結果、長波帯では結構効果があり、NDBとNAVTEXが受信できるようになった。
試したこと
製品としては、AORのGT-1や、その他Amazonでの個人作成のような品がある。 が、仕組みとしてはトランスで絶縁するだけなので、最初手持ちの適当なトランスで試してみた。
これでも結構効果があり、長波帯で350kHzを中心にこんもりとしたノイズが減った。その御蔭で、NDBとNAVTEXが受信できるようになった。
これに味をしめて、高周波帯では部品箱のトランスでは良くないだろうと、翌日には秋葉原でGT-1を買ってしまった(形にするのが面倒だったというのもある)。
以下、変化を示す。
ちなみに、スペアナで特性を測ったら以下のような感じだった。
部品箱のトランスは、フラットではなく右肩下がりの特性なので、7MHz帯でGT-1より全体的に減衰していたように思われるのも理解できる。
附:NDBとNAVTEX
長波の業務用無線の1つ。
NDB
無指向性無線標識(Non-Directional Beacon)のこと。
飛行機の現在位置を特定するために使われるらしい。指向性のある受信機で、2地点からのNDBを受信し、それぞれの角度の延長線上の交点が現在位置になる。
現在、多分全国17箇所から送信されている(VOR/DMEやGPSに取って代わられていて?、減少傾向)。
東京から近いのは
昔は、羽田・横須賀・荏田・大宮・館山・熊谷・大島・八丈島…とあったらしい。
他に送信出力が大きいのが下記
変調方式は、1020Hzの信号のAM変調。AMで受信してもよいが、CWモードで直接+1kHzを受信したほうがよい。
信号は、20秒くらい送信 + コールサイン2回なので、1分くらい聞いていればNDBかどうか分かる。
自宅では、夜に新立川NDBがよく聞こえる。日光はごく偶に聞き取れる。その他は駄目。
国交省のページはかなり古い。 航空:NDB配置図 - 国土交通省
NDB一覧 http://aim-japan.or.jp/pdf/2013kouki_j1110.pdf
NAVTEX
NAVigational TelEXシステムの略。よく分からないが、航行警報を送受信するシステムであり、全世界的に使用されているらしい。
周波数と変調方法は下記
- 424kHz(和文)F1B(RTTY(FSK、副搬送波FSK、主搬送波SSB))
- 518kHz(英文)F1B
FSKは、baudrate = 100, シフト幅 = 170Hzらしい。英語版Wikipediaに詳しい。https://en.wikipedia.org/wiki/NAVTEX
放送は、国内は釧路、小樽、横浜、門司、那覇。その他世界各地に放送局あり。 http://www.dxinfocentre.com/navtex.htm
いつでもやっているわけではなく、放送スケジュールがある。日本に関しては以下で確認した。 https://www.tele.soumu.go.jp/resource/j/material/dwn/3-2.pdf
受信時は、-1.7kHzを中心としてUSBで受信している。そのままで聞くとビョロロロ…というモデムの音である(想像していたよりビットレートが高かった)。専用のデコーダーを使えば、文字に起こせる。私は以下を使った。マイク入力とヘッドホン出力を繋ぐ必要あり。
Free NAVTEX decoder / ナブテックスデコーダーフリーダウンロード
いつも-1.7kHzで聞いているので、SmartTuneはOFFにしている。エラー訂正(FEC)はONのままにしている。
夜(2時~)の放送はどこもよく聞こえる。1kWだからだろうか(なんでNDBは聞こえないんだろう…)。 受信すると、以下のようなメッセージを見ることが出来る。
CWやAMと比べると複雑な変調方式(と思っている)なので、最初復号できたときはかなり感動した。
その他
AMラジオより下で、あと心当たりがあるのは、モンゴル放送と標準電波(JJY等)、潜水艦通信、アマチュア無線帯くらい。DGPS局もロランCも無くなってしまった。NDBも虫の息だ。受信出来るものが少なくなるとつまらなくなる…。