総務省「海上移動業務用無線局局名録」のページに、海上保安用海岸局というPDFがあります。 これに関するメモ。
1-(1) 東京保安(とうきょうほあん)
えらく沢山周波数があるように見えますが、目的によって違います(注意書きを見る)。まとめると下記の通り。
方式 | 識別信号 | 受信 | 送信 |
---|---|---|---|
DSC(デジタル選択呼出) | 004310001 | 4208kHz, 8415kHz, 12577.5kHz, 16805kHz | 4219.5kHz, 8436.5kHz, 12657kHz, 16903kHz |
NBDP(狭帯域直接印刷電信) | 2400*1 | 4179kHz, 8739.5kHz, 12487.5kHz, 16688.5kHz | 4216.5kHz, 8419.5kHz, 12590kHz, 16812kHz |
J3E(短波電話) | とうきょうほあん JNA | 4354kHz, 8707kHz, 8710kHz, 12326kHz, 12332kHz, 16513kHz, 16519kHz | 4MHz・8MHzは同じ。他、13173kHz, 13179kHz, 17395kHz, 17401kHz |
注
3 (1)については、狭帯域直接印刷電信による通信を行う場合に使用する。
4 (2)については、デジタル選択呼出装置による通信を行う場合に使用する。
5 (3)については、デジタル選択呼出装置による通信に引き続く狭帯域直接印刷電信又は無線電話による通信を行う場合に使用する。
コメント
- 東京保安は中波は(この表上は)扱っていない
- 最初の呼出はDSCまたはNBDP → DSCが主流なので実質最初の行の周波数のみ
- 無線電話はその後必要な場合のみ使用 → つまり基本使われない
- 送受信で周波数が違う
DSCの送受信で周波数が違うのは他国(他の海岸局)も同じなのでしょうか?
1-(2) その他保安
その他保安は小樽・塩釜・横浜・名古屋・神戸・広島・門司・舞鶴・新潟・鹿児島・那覇。 表は縦に長いですが、周波数は(VHF電話を除き)同じ。
方式 | 周波数 |
---|---|
DSC(デジタル選択呼出) | (受信)2,189.5kHz (送信)2177kHz |
J3E(中波電話) | 2,150kHz, 2,394.5kHz |
F3E(VHF電話) | 156.8MHz(ch16), 156.6MHz(ch12)(,156.45MHz(ch09)) |
注
(1) F1B電波2,177kHzについては、デジタル選択呼出装置による通信
(2) J3E電波2,150kHz及び2,394.5kHzについては、デジタル選択呼出装置による通信に続く無線電話による通信
コメント
- 東京以外の保安は中波のみ
- 最初の呼出はDSC。無線電話・NBDPはその後必要な場合のみ使用
- 送受信で周波数が違う(2177kHzの海岸局の応答、見たことがないが…上海は同じ周波数で送受している気がするが)
3 船位通報制度(JASREP)
周波数帳には、JASREP通信波として幾つもの周波数が掲載されています(2150kHz, 2182kHz, 2394.5kHz, 4179kHz, 4184kHz, 4186.5kHz, 6218kHz, 6269.5kHz)。 古い受信ログをインターネットで見てみても、音声通話があったようです。 しかし、今でもあるんでしょうか?私が聞いたことはないです(DSC、電子メール等で実施?)…。
で、上記PDFには一括呼出の記載があるのですが、読む限り、対象となる船舶が存在する場合のみ呼んでいる気がします。そのためあまり使われなさそうな気がしますが、どうなんでしょう。
(6) 呼出し等
位置通報又は最終通報の遅延により安否を確認する必要がある船舶、救助を依頼する船舶等、連絡を要する船舶に対し、東京(富津)海岸局は、毎奇数時(中央標準時による。)の00分及び必要の都度、デジタル選択呼出装置(F1B)の電波の同時送信により、呼出しを行う。また、1(2)に掲げる海岸局は、必要の都度、呼出しを行う。
*1:狭帯域直接印刷電信用海岸局識別番号