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吾妻線(大前~長野原草津口)

8月の土日、浅間連峰を1泊2日で歩いてきて、その帰り、国民休暇村鹿沢高原で日帰り入浴し、そこからわざわざタクシーで吾妻線万座・鹿沢口駅まで来ました。

さて、このような場所に来ることは今後滅多に無いでしょうし、絶好の機会ですので、前から気になっていた吾妻線の乗り潰しをしてきました。

吾妻線は、既に草津温泉に行った時に、渋川~長野原草津口までは乗っていましたので、残るは長野原草津口~大前です。

そう。JR東日本の誇る本数の少ない区間、1日4.5往復の万座・鹿沢口~大前に乗ってきました。

吾妻線のダイヤ

さて、旅行記(主に写真)を始める前に、少し机上調査したのでその内容を話します。 このような閑散路線を見ると、少なくない人が「この吾妻線の末端区間 万座・鹿沢口~大前は昔は本数が多かったのだろうか?」と感じると思います。 どこのローカル線も、最近は減便のニュースをよく見かけますからね。昔はもっと賑やかだったのかもしれません。

しかし、吾妻線の大前については、そうではなく、元々本数が少なかったようです。

下表に、家にある時刻表から拾った本数の推移を並べてみました。

これを見ると、普通列車、特に渋川~長野原草津口の本数は増えているのが分かります。ローカル線は減るもんだと思っていたので意外でした。昔は車両不足だったんでしょうか。

逆に、特急は減り気味です。現行ダイヤでは長野原草津口万座・鹿沢口間の普通列車が増えていますが、それとは別に特急が長野原草津口止まりとなり、総合的には減っています。

で、肝心の大前は、1971年の延伸時に開業したものの、1976年の時点から1日5本で、JRになってから本数が減ったのではなく元々少ないようです。うーん。なぜ延伸した。でも、国鉄時代から1日5往復というのは、相当なローカル線のはずです。一体どのような場所なのでしょうか。

家にある時刻表から拾った、吾妻線の列車本数の推移(正確性の保証はありません。目視で数えただけなので)

時刻表 普通・快速(渋川~長野原草津口 普通・快速(長野原草津口万座・鹿沢口 普通・快速(万座・鹿沢口~大前) 特急
現行 14 10.5 4.5 特急草津3
1998年2月号 14 9 4.5 新特急草津3*1
1994年1月号 14 9.5 5 新特急草津3*2
1987年1月号 13 9.5 5 新特急草津3*3
1984年6月号 11 8.5 5 急行草津1, 特急白根4
1980年4月号 11 8.5 5 急行草津4, 特急白根1
1976年11月号 11 9 5 急行草津4

ただし

記録

ということで本編を始めます。

さて、いきなりですが、下山し国民休暇村鹿沢温泉で入浴してから、タクシーで万座・鹿沢口駅までやってきました。 登山の話はyamarecoを参照してください。

万座・鹿沢口駅を見る

万座・鹿沢口駅は…なかなか見どころがあります。

  • 1日6往復の列車が折り返す駅ですが単線です。来た列車はそのまま折り返すか、大前まで回送するようです
  • 嬬恋村にあります。村にある駅って結構珍しい気がします
  • その上高架駅です
  • 高原野菜で有名な嬬恋村の駅だけあり、駅前の水準点で標高772.8mと、地味に結構高いところにあります(出口に出荷量日本一のポスターが貼ってあるので見てみて)
  • どうも近年(2017年)に無人化したのか、有人駅の名残が随所に見られます。そしてその副作用として指定席券売機が撤去されてしまったようです。なのでここから長野原草津口発の特急券が買えないということになります。これはちょっと不便なんじゃないかと思わなくはないです(でも旅行で使う人は事前に買っていそうだ)

ちなみに、2015年度の1日平均乗車人数は205人とのことで、長野原草津口以西ではぶっちぎりで乗降客数が多いです。

駅の裏にはバス乗り場がありますが、鹿沢線が廃止されてしまい、ちょっと寂しい感じになっています。

駅の近くには、嬬恋村観光案内所、駅前食堂(あさひ食堂)、セブンイレブンがあり、結構便利です。

この日、着いたのが16時頃で、大前行きは17時7分発だったので、しばらく駅構内を色々見て回ったり、セブンイレブンに行ったりして暇をつぶしていました。

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万座・鹿沢口駅。高架駅です

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実は万座・鹿沢口駅嬬恋村。村にある鉄道駅はなんだか不思議な感じがします。嬬恋といえば高原野菜ということで、圧倒的なキャベツの実績;反対側。色褪せた歓迎の文字がノスタルジックです

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駅です。つい最近まで有人駅だったようです。Suica、使えます;自動券売機で買ってくれとのお願い

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構内を散策してみましょう;階段の踊り場から

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バスのりばの案内板;

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;ホームに出てみました。折返しの高崎行きが止まっていました。人の気配がしません。雨です

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;大前方

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縦長の標;ホームからの眺め。対岸は三原集落です。

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時刻表。大前方向は1日4本;バスの時刻表の掲示です。左側のほうが寂しいですね

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バス路線図。廃止になった路線(鹿沢線とか)が残っています;駅裏側にあるバスターミナル。閑散としています

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バス停。最近(2020年12月から)、上田~草津線という新しいバス路線が出来ました。明るいニュースですね

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駅裏手は緑に覆われた一面の急斜面になっています。急傾斜地崩壊危険区域です;この集落にもカラオケが

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駅舎に戻って撮った看板;ぐんま県境トレイルの広告。いやあ、行ってみたいんですけどね…

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この駅を降りるとある様々なホテル旅館の看板…!いいですよね。保存してほしい;

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全然読んでいませんが、碑がありました

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三原集落

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駅前には「あさひ食堂」という食堂があります;セブンイレブンもあります。諸々の観光地へつながっている道なので、車は結構往来します

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嬬恋村観光案内所;これから出番はあるんだろうか…既にボロボロになっている

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晴れました

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後ろの斜面、よく見たら崖の上にアンテナと思われるものがありました。中継用とかでしょうか

いよいよ大前へ

そろそろ時間になりましたので、大前に行きましょう。

万座・鹿沢口~大前は、走行時間はわずか4分なので、車窓を眺めているとすぐ着いてしまいます。 ここに来るまでの労力と比べると、本当に呆気なく終わってしまう、そんな感じです。

そもそも万座・鹿沢口の時点で人が全然乗っていませんでした(数名降りた)。4両編成で10人居るのかな?というくらいなので、ガラ空きもいいところです。渋川側に近づくにつれ人がどんどん増えるのでしょう。

大前駅で列車は折り返しますが、折返しまで20分くらい時間があるので(まさに見物していってねと言わんばかりに)、駅を見てみました。

簡素な駅ですが、小さな待合室とお手洗いがあります(待合室には駅ノートもあります)。ただ…お手洗いはちょっと敷居が高い感じなので、列車のお手洗いを使う方が良いかもしれません。

雰囲気としては山間集落の端っこになぜか駅がある感じで、なかなか独特の雰囲気で面白かったです。 なお、近くには団地(!)がありました。でもこれ電車使うかな…。

大前までは多分4人乗っていましたが、全員同業者のようで、駅からどこかに向かうわけではなく、各々駅を見ていました。

さて、大前駅で困るのが、なんと乗車駅証明書発行機がありません。勿論券売機なんかもありませんので、切符無しで折り返すことになります。車掌さんも特に回ってくるわけではなく、私は結局山手線の駅まで切符無しで載っていました。久々にドキドキしました。で、窓口で「切符ありません」「乗車駅証明書発行機のない大前という駅から乗ったんです」「信じてください」みたいな悲痛な声を出したら(まああと万座・鹿沢口乗車駅証明書と、万座・鹿沢口→大前の切符は持っていたのでそれを出したのも功を奏したか)理解してもらえましたが。

切符回収箱はあったので、意外だなあという感じです。

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夏の空だね;万座・鹿沢口~大前間で見れる崖

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来ました。終点大前。1日4.5往復しか電車が来ない駅…;大前

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渋川方面;あの縦長の駅名標が、ホームの端の柵にかかっています

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ホームの端。特急用なのか、停車目標と乗降台がありますね;折返し新前橋行きです。行先によって方向幕の色が変わるのが面白いですよね

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大前駅です;時刻表。1日わずか5本

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駅ノートがありました。秘境駅の中では比較的訪れやすいのでしょう、記入も多いです;ホームを外側から1枚

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駅近くの団地。山間でも団地ってあるものなんですね;最後に1枚。夏の夕暮れですね。西日がきつかった。

渋川、そして東京へ

さて、大前駅を一通り写真に収めて満足したので、列車に戻って発車を待ちます(なぜなら外は暑かった)。

定刻通り、時間は渋川に向けて発車しました。

万座・鹿沢口、袋倉(ここまで嬬恋村。なんと嬬恋村には3つも駅があるのです)、羽根尾、群馬大津(上州じゃない)ときて、長野原草津口に到着。20分くらいでしょうか、来るのは大変でしたが、割とあっけなく、吾妻線を完乗しました。 このアクセスの大変さを思うと、片付けられてよかったなあという感じです。

そこからは、(寝たり携帯を見たりしてあまり記憶がありませんが、)中之条、渋川、そして終点新前橋まで行き、新前橋からは高崎線グリーン車で東京まで帰りました。

これで旅行記としては終わりですが、ちょっとばかり気になったことがあるので、書きます。

最近、磐越西線喜多方~会津若松が非電化にされるニュースが出回りました。 その前に、いつだか忘れましたが、非電化化や単線化も考えていると発表があったので、どっかはやるんだろうなあと思っていましたが、そこなんだという気持ちになりました。

で、他にどんな場所が非電化化される可能性があるのか、オタクな方々はそういうのが大好きですから、予想が色々出ていたのですが、その一つに吾妻線長野原草津口以西というのがありました。

もっとも、吾妻線長野原草津口まで電化区間ですし、この近くに気動車を使う路線はない(一番近くて八高線)ため、磐越西線とは色々条件が異なると思いますが。

とは言え、休日の様子だけ見て決めるのもどうかと思いますが(ローカル線の主役は学生なので)、少なくとも休日の様子だけから見ると、長野原草津口で系統分離し、長野原草津口~大前間は、長野原草津口で電線から充電するような気動車になっていてもおかしくなさそうだなあと感じました。

しかし、Wikipediaから情報を拾えるこの区間の利用者数は下表の通りで、1本辺り平均で、群馬大津以西では計40人くらい乗っているようです。意外と多いですね。2両編成くらいにはなりそうだ(烏山線EV-E301系が2両で座席48人分)。

うーん、電化による運営コストの増大幅なんて分かりませんし、これではやはり電化のままのほうが良いと判断されるのでしょうか?よく分かりません。

長野原草津口 群馬大津 羽根尾 袋倉 万座・鹿沢口 大前
① = 1日平均乗車人数 740 86 41 19 205 50
② = ① /(定期列車往復数) 43.5 8.2 3.9 1.8 15.2 11.1

群馬大津、羽根尾、袋倉は2011年度。大前は2013年度。長野原草津口万座・鹿沢口は2015年度。

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新前橋

*1:1, 3, 7, 4, 6, 10号。2, 9号は吾妻線内各駅停車

*2:1, 3, 5, 4, 6, 8号。2, 7号は吾妻線内各駅停車

*3:1, 3, 4, 5, 6, 8号. 2, 7号は吾妻線内各駅停車