東京九州フェリーと山口県・福岡県の乗りつぶしの旅(0・1日目)
目次
2日目はこちら vita-brevis.hatenablog.com
イントロ
日常ばかりをずっと送っていると、真綿で首を絞め続けられるような感覚に段々とMPが削られていき、段々逃避したくなる。 私にとってその敵の象徴であるのが都会のコンクリートジャングルで、なるべく距離を取りたくなる。 その行き着く先は山であることが多いが、今回は1日中ある意味で隔絶された環境に身をおくことのできるフェリーに乗ることにした。
実は旅行は何度も行っているが国内でフェリーに乗ったことがない。フェリーというと時間がかかる印象で、そこまで時間の余裕のない自分にはあまり縁がないものと思っていたからだ。しかし、船旅というのはそれだけで浪漫がある。 調べてみると、意外と関東を夜に発つ、利便性の高いフェリーがあるらしい。しかも国内なら金曜夜発にすれば土日に帰ってこれそうだ。
また、最近のフェリーはどうも想像していたのと違ってずいぶん綺麗らしく、画像を見ていると中々に快適そうだ。そこで自分の好きなように1日ぐだぐだできるというのも、元来が怠け者の自分の性に合っていそうだ。
フェリー、いいじゃん。という思いは募っていき、物は勢いだろうということで、時間的に都合がいい東京九州フェリーに今回乗ることを決めた。
ついでに、フェリーの行き着く先である新門司港周辺の、JRの未乗線区を乗りつぶしたりした。
旅程
11/11金(0日目)
品川 21:05 -(京急 ウィング 16号)- 21:56 横須賀中央 …(徒歩)… 東京九州フェリー 横須賀フェリーターミナル 23:45 -(東京九州フェリー 新門司行き)
11/12土(1日目)
1日フェリー。その後、泊まる場所がなく苅田へ。
- 21:00 新門司 21:10 - 21:40 門司 21:44 -(鹿児島本線 普通 直方行き)- 21:50 小倉 22:18 -(日豊本線 普通 柳ヶ瀬行き)- 22:40 苅田
11/13日(2日目)
乗り換え15回のハードな1日。未乗区間が含まれた列車は、線名を太字にしてみた。
- 苅田 06:29 -(日豊本線 普通 門司港行き)- 06:55 小倉 07:09 -(鹿児島本線 普通 下関行き)- 07:23 下関 07:26 -(山陰本線 普通 長門市行き)- 09:36 長門市
- 長門市 09:53 -(美祢線 普通 厚狭行き)- 10:58 厚狭 11:03 -(山陽本線 普通 岩国行き)- 11:13 宇部 11:16 -(宇部線 普通 新山口行き)- 11:31 宇部新川
- (昼食)
- 宇部新川 12:52 -(宇部線 普通 宇部行き)- 13:04 宇部 13:16 -(山陽本線 普通 岩国行き)- 13:40 新山口 13:55 -(山陽新幹線 のぞみ21号 博多行き)- 14:13 小倉
- 小倉 14:24 -(鹿児島本線 普通 直方行き)- 14:31 戸畑 …(徒歩)… 戸畑 14:41 -(北九州市営 若戸渡船 若松行き)- 14:44 若松 …(徒歩)…若松
- 若松 15:26 -(筑豊本線 普通 折尾行き)- 15:42 折尾 15:46 -(筑豊本線 普通 直方行き)- 16:06 直方 16:15 -(筑豊本線 快速 博多行き)- 16:31 新飯塚
- 新飯塚 16:47 -(後藤寺線 普通 田川後藤寺行き)- 17:08 田川後藤寺 17:22 -(日田彦山線 普通 添田行き) 17:37 添田
- 添田 17:58 -(日田彦山線 普通 小倉行き) - 19:03 城野 19:07 -(日豊本線 普通 中津行き)- 19:17 朽網 19:27 -(にしてつバス 北九州空港行き)- 19:46 北九州空港
- 北九州空港 21:10 -(SFJ 92便)- 22:40 羽田空港
0日目以前(出発前)
具体的には2つ、やったことを書いておく
宿の予約
全国旅行支援とかいう名を変えたGoToキャンペーンが実施されており、そのためなのか、福岡県の宿がほぼ全て満室、空いていたとしてもなかなか強気の値段となっており(例えば、博多で空いているホテルがじゃらんで数か所、価格はビジネスホテルで1泊2万円など)、探すのに苦労した。
結局、ちょっと離れた苅田(「かんだ」と読む。読めんわ)駅前のルートインが空いていて、1泊8000円とこれまたなかなかのお値段だったが、そこにした。
駅寝は流石に屋根がないから論外で、満喫とかカラオケでもよかったものの、流石にもう少しプライベートさのある空間じゃないとしんどいなと思い、身銭を切る事に。
フェリーの予約
意外と直前でも空き席はあるもので、普通に予約できた。 まあ、あまり観光メインの路線ではないとはいえ、予約戦争のおがさわら丸(本当に、本当に、夏のおがさわら丸は予約が取れない。ついでに土日の伊豆七島方向に向かう船も結構混んでいる)などとは違うようだ。
ちなみに、旅行支援の対象で、1万2千円が7千円台まで割り引かれた。そこに更に3千円のクーポンまでもらえ、超超超お得だった。
(でもこのキャンペーン、旅行先が軒並み混むから、個人的には早く終わってほしいな…旅行先が滅びるのもそれはそれで嫌だけどさ…。あるいは日本社会の休日が分散するのでもよし)
ただ、申請はネット経由は二日前までで、それ以降は電話ということで電話してみたものの、昼間なかなか通じず大変だった。
本当はツーリストSがよかったが、満席ということで、相部屋のツーリストAにした。 ただ、これは結果的にはよかったと思う。 今回乗ったのは「すいせん」という船であったが、ツーリストSは窓のない個室が並んでいて、正直結構窮屈そうだった。一方でツーリストAは8人部屋であるが、角のベッドだけ4人で使う感じで、思ったよりプライベートな感じであり、広々としていたため。
0・1日目
0日目といえばいいのかよく分からない。 早めに終業し、準備をし、フェリーに乗りに行った。
京急 品川 21:05 → 21:56 横須賀中央
折角なのでウィング号に乗ってみた。
このウィング号、昨今私鉄路線で続々と有料の座席指定サービスが導入されているが、その遥か昔、私が物心ついた頃から続いている京急の有料の列車である。
ただ、京急の車内以外であまり積極的に宣伝していることを見かけたことがなく、知名度はそこまで高くないように思う。
基本的には夕方に三浦半島方面に向かって運行されるためあまり縁がなかったが、今回はその稀有な機会であったので乗ってみることにした。
京浜東北線の中で急いでネット予約をする。座席指定画面が、補助席まで書かれておりよくわからなかった。
品川では3番ホームに行く。この乗換が、エスカレーターが見当たらず(荷物が重くて)苦労した。
ウィング号は8両編成だが、前後で4両ごとに、一箇所から乗る方式だった。そこで駅員さんが切符を確認する。 そのため、乗り込んでからぞろぞろと皆車内を移動することになる。 あまり特別料金を支払った感じがしない。
ただ、混雑する特急とかと比べ、2人がけシート2つ(4人分)に1人程度の密度で快適ではあった。
ウィング号、最初の停車駅の上大岡から先は普通にお客さんが乗り込んでくるということを知らず慌てたが、無事横須賀中央に到着。
しかし、旅の始まりが京急では、あまり旅行気分が出てこない。
徒歩 横須賀中央 → 東京九州フェリー 横須賀フェリーターミナル
横須賀中央からは、コンビニによりつつ徒歩でフェリーターミナルへ向かう。 途中から大通りではなくなるものの、ほぼほぼ一直線で、案内板もあるので、あまり迷う要素はない。
潮の香りと港湾独特の雰囲気を感じながらフェリーターミナル着。
ここで受付をする。
2階に待合室があったが、結構混んでいたので、外で待っていた。
タクシーで来る人も散見された。
23時前になると、徐々に乗用車やトラックが動きはじめる。 それを見て、そろそろかなと思いフェリーターミナルの中に入る。 ちょうど乗船時刻で、既に皆乗り始めていた。 フェリーが大きいだけ有り、フェリーターミナルの3階から乗船した。
東京九州フェリー 横須賀港 23:45 → 翌 21:00 新門司港
(先に書いておくと、携帯(docomo)の電波は全然通じないものかと思っていたが、そんなことはなく、東京~下田あたりと、潮岬沖、室戸岬沖、足摺岬沖、豊後水道あたりと、結構通じた。船室でも使えるくらいだった。例えば室戸岬沖では陸から40km程度離れていて、自由空間損失でも120dBくらいあるようで、通じるものなんだなと思ったりした)
ついに乗船。念願の国内初フェリーだ。
まずはエントランスに出るわけだが、この船は4~6階が居住空間になっており、エントランスは3階層分の吹き抜けになっている。 およそ船の中とは思えない綺麗な作りをしていて驚く。
昔、ギリシャでエーゲ海クルーズの船に乗ったことがあるが、それに負けないレベルだった。
その次、4階ツーリストAフロアを進み、指定された部屋の自分の区画に荷物を置く。既に同室の人は自分の区画に来ているようだったが、カーテンが閉まっていたりして顔を合わせることはなかった(下船まで同じ。ちなみに、同室の人はなんだかほぼ寝ていた気がする)。
忘れていたが時刻は既に0時前。超夜行性の自分は一番目が冴える時間なのだが、一般的にはそろそろ寝る時間であった。
私は目が冴えているし、何なら初めてのフェリー旅でテンションが上がっていることもあり、船内探検に出かける。 といっても、他の客室フロア(ツーリスト系は4F、ステートルームが5F、デラックス・スイート・ルームは6Fに、それぞれまとまって配置されている)には入れないので共用部を見て回る。
意外と静かだったが、人はいた。特に、5Fの窓際には椅子が沢山並んでおり、そこに座っている人が多かった。これは今後も見られた光景で、どうも船旅というのはのんびりしているから、皆好きな場所で思い思いにそのゆったりした時の流れを味わっているらしい。この雰囲気がとてもよかった。
さて、船の施設は結構営業時間が細かく決められている。少ない人員でたくさんの施設を回すための工夫なんだろうか。例えば、売店なら乗船時~24:30、09:00~20:00だし、カフェは10:00~11:00、14:00~15:00。レストランは23:30~25:00、07:30~08:30、12:00~13:00、18:00~19:00である(ちなみに、営業終了じゃなくてL.O.の時間で、その後ちょっと食べてても許される雰囲気はある)。
乗船時の深夜に一応店が開いているのは助かるが、食事を済ませて来てしまったので、流石にレストランはパスした。売店だけ見て、あとは5Fのオープンデッキでのんびり外の景色を眺めることにした。
船といえばやっぱり潮風に外の景色だと個人的には思うのだが、あまりオープンデッキには人はいなかった。 浦賀水道を抜けるくらいまで、夜景を眺めていた。
1時前にデッキから撤収。フリースペースにはこの時間でも人が結構いた。 お風呂はどうにも面倒で行く気になれず、部屋で本を読んだりして、適当な時間に寝た気がする。
起きると朝8時半ごろだった。なぜかよく電波が通じた。潮岬沖だったかららしい。オープンデッキに出てみれば、一面の大海原…と右舷側にぼんやり紀伊半島が見える。
レストランで朝食。結構クオリティが高い。ごろごろ出来て食事はうまい。最高か。
その後、あんまり何をしたか覚えていない。本読んでいたのかな。船はかすかに数秒周期でロール方向に揺れていたが、あまり酔うほどでもなかった(ただ、この揺れを1日弱ずっと受けていたせいか、陸に上がってからも揺れている気がして大変だった。苅田のホテルとか揺れているようにしか思えなかった)。
12時ごろのそのそと這い出て、お昼を食べに行く。 このときは室戸岬沖だった。あっという間に船旅はもう半分である。のんびりしているはずなのだが、快適すぎて時間が進むのが早い。いやあ、あと1日くらい乗っていていいんだが…。これなら太平洋横断でも耐えられる気がする。
その後、足摺岬沖。足摺岬なんて、東京から、下手したら1日で到達できるのか分からないくらい遠いが、船だとそのような陸からのアクセスが悪い場所ばかり見ることができるので新鮮だ。
さて、ここらへんでカフェがまた営業するようなので、出向いてカフェラテを頼む。コーヒーとカフェラテは生命線なのだ。
足摺沖からはゆっくりと右に曲がっていき、豊後水道に入る。 途中、沖ノ島が見える。沖ノ島は海が綺麗だと聞いたことがある。一方で、東京から行こうとすると、多分始発の飛行機で羽田を07:30頃出発して、空港連絡バス+特急あしずり+土佐くろしお鉄道+バス+フェリーで15:20に到着と、8時間くらいかかる遠い場所でもある。 これがあの沖ノ島かあ…と、窓の外をぼんやり眺めたりした。
ちなみに、フリースペースのソファ席が居心地がよく、しばらくそこにいたが、見ていると、窓際で業務用のPCを弄っている人が数名いた。フェリーでまで仕事…大変だ。
豊後水道はあまり陸が見えない。途中、豊後水道のど真ん中にぽつんと浮かんでいる水ノ子島が見えた。こんなん陸からじゃ見る機会ないだろうから目に焼き付けておく。
秋なので日が暮れるのが早いが、豊後水道は幅が広いからあまり明かりらしい明かりも見えない。 すれ違う船のライトが目立つ。
売店で適当にクーポンを消費しておく。レストランでも使えるのだが、お昼に使い忘れてしまったのだ。 ちょうど書く紙が欲しかったので、廃版海図リングノートというのを買った(あと、スナック菓子に飲み物とか)。
最後の方は部屋で本を読み進めていると、あっという間に21時が近づき、船内放送ももうすぐ着く旨を案内していた。 名残惜しみつつ、荷物を片付ける。そして、新門司港につき、下船。 長いようであっというまの船旅であった。
ちなみに、新門司港のタラップは地上3~4階くらいの高さにあるのだが、地味に船とタラップの接合部に手すりのない部分が30cmくらいあり、怖かった。こええよ。
バス・鹿児島本線 新門司港 21:10 → 21:40 門司 21:44 → 21:50 小倉
港からはバス。
フェリーに降りる際、車で来た人は、同乗者含め車両甲板から出ることになったため、徒歩で下船する人のみが入り口らへんにぞろぞろと並ぶ。
結構人数が多く、これバスに乗り切るのかな?などと思う。
実際は、バスの2人掛けシートが1人ずつ埋まるくらいだった。
新門司港から門司駅までは30分くらい。途中小さな山を超えたりする。 流石に歩くのは難しく、路線バス自体もない(Google Mapの経路検索では出てこなかった)ような場所だったので、送迎バスで脱出できてよかった。大半は小倉まで行くようで、門司駅では数人のみが降りた。
門司は比較的知名度が高い場所だと思うが、駅舎や駅の周りはそこまででもなかった。
さて、早速ホテルのある苅田に向かう。で、いきなり直方行きに乗ることになり、土地勘のない私はそれで小倉を通るのか若干不安だったが、1駅で小倉へ。この列車は空いていた。
小倉では一旦改札の外に出てみたりしたが、とりあえずターミナル駅だというのに、在来線改札横の自動券売機の数が少ないことに驚いた。数台しかなく、東京で言うなら五反田並だ。
日豊本線 小倉 22:18 → 22:40 苅田
小倉からはしばらくの待ち合わせの後、日豊本線で苅田へ。 休日の夜に大都市からその近郊へ走る路線だけあり、若者ばかりの列車であった。最初混んでいて立っていたが、途中から座った。
ちなみに、813系であったが、扉付近の椅子を取り払ったのか、不自然にスペースが空いていて笑ってしまった。 混雑緩和?コストカットのため?謎である。
苅田で下車。駅前のルートインへ向かったが、どうもホームの車両が全然発車しない。見た感じ、急病人が発生したらしい。遠くから、車掌が介抱しているのが見えた(その後救急車で搬送されていた)。時間的に急性アルコール中毒とかだろうか。
ちなみに、なんで止まったままなのか気になるのか、若者3人とかが、その急病人のところまで来ては、元いた場所に戻っていく様子も見えた。ええ…。
ホテル自体は、23時着で予約していたことも有り、特に問題もなくチェックインできた。部屋は最上階で、高所恐怖症の私にはなかなか怖い眺めの部屋だった。
ここで、朝食が06:30~で、06:40くらいの列車に乗ろうとすると食べている時間がないこと、一方で乗り継ぎが朝からタイトであるにも関わらず駅近辺にコンビニがない(ちょっと離れるとローソンがあるが)ことが判明し、一本早めて小倉のコンビニで買うことに決める。 コンビニ飯かと思うと悲しくなってくる。
また、苅田駅の自動券売機は1つのみ、しかも近距離きっぷしか購入できないようで、明日長門市までの切符を買えないことが判明。これも小倉で買うことにする。
どうも大きい駅まで行かないと何も用が足りないみたいだ。
しばしPCをやったり、荷物を片付けたり、明日の準備などをして、2時頃就寝。
2日めに続く。 vita-brevis.hatenablog.com