受信環境を整えたところ、「どうもこの強信号が悪いのではないか」と邪推するようになってしまい、精神の安寧のためにフィルターを3つ作りました。
航空無線(VHF帯)用3次バタワースBPF
回路
以下のウェブページと同じものを作りました。
VHF AIR BAND用 108〜138MHz帯 バンドパスフィルタの作り方 3D無線クラブ
- VORには興味がないので、下限を118MHzにすべきでした
- 本当は段数を増やしたかったのですが、RF ToolsでやってみるもnHオーダーのコイルが必要になってしまい断念しました。後で知りましたが、スズメッキ線で手巻きすればそのオーダーのコイルを作れるみたいですね(144MHzのキャビティBPFで手巻きコイルばかりなのも、そういう理由でしょうか)
作成
- 初めてトロイダルコアを使ってコイルを巻きましたが、意外と面倒でした
- 生基板による作成も初めてでしたが、ランドのカットが大変でした(普通のカッターだと歯が立たず、Pカッターでようやくできました)
- 後で気づきましたが、トロイダル・コアの下の部分は銅箔を剥いだほうが良かったのかもしれません。そうしないと、コイルの巻線との間に浮遊容量が発生します
- ケースはタカチのアルミダイキャストケースTD4-6-3Nを使用
- パネルマウント型のBNCコネクタのうち、プラグ側がなかなか見つからず苦労しました(秋月で売っています)
測定
スペアナで周波数特性を測定してみました(下の写真の撮影時には、20dBのATTとDCブロッカを外付けしています)。
-3dB幅は35.3MHzで、想定の136-108 = 28MHzよりやや広めです。なぜか挿入損失が通過帯域でも-6dBほどあります。3つのLC共振回路の組み合わせだからか、ピークが3つあります。
その後、ケースに入れ、再測定しました。
ちなみに、受信環境はあまり変わりませんでした。残念。
この回路の不思議
この回路で少し納得できていない点があります。
まず、秋月のページにあるデータシートから、T-25-12のAL値は、12μH/100回巻です。よって、それぞれのコイルのインダクタンスは次式と求まります。
- L1, L3のインダクタンス:[tex:L_{1, 3} = 12 \times (17/100)2 = 0.3468][μH]
- L2のインダクタンス:[tex:L_{2} = 12 \times (17/100)2 = 0.0048][μH]
この定数でLTSpiceでシミュレートすると、実測値と掛け離れた特性が出てきます。
個人的には、L2と22pF // 47pF = 69pFの部分の定数が小さい気がしていますが、現実は良い特性を示していて、その差異の原因が分からないままでいます。
長波用9次チェビシェフLPF(カットオフ周波数 = 500kHz)
回路
上のBPFに同じく、以下のHPに着想を得ました。
500KHZ LPF ローパスフィルターの作り方 3D無線クラブ
段数を増やすほど特性がまともになるだろうという安易な発想で、RF Toolsを参考にしながら次数を9次にしました(フィルタ。 不安だったので、LTSpiceでも同じ結果が得られるか確認しました。
作成
そして、秋葉原で部品を買ってきて作成したのが以下です。
主に千石で部品を集めましたが、27μHのコイルが見つからなかったため、すべて22μHのアキシャルリードコイルとしています。
(実はシオヤ無線で27μHのチョークコイルを見かけたのですが、作成前にブレッドボードで念の為特性をチェックした所、共振周波数が低いのかあまりうまく行かず、22μHで代用しました。事前確認してよかった…)
測定
スペアナで測定した周波数特性です。通過域でも少しガタガタしています。100kHz以下はTGがそもそも対応していないので測定不可です。
こちらも、ケースに入れた後に測り直しました。
元々TURHの段階で、低周波領域では損失が多くなります(DCブロッカのためか?)。そのため、TURH結果を使用してNORMALIZEすると、少しだけまともに見えてきます。ただ、この場合でも少し通過領域でもガタツキが見られ、カットオフ周波数は400kHzでした。
さて、これも、受信環境は変わっているようにはあまり感じられませんでした。
短波受信用9次チェビシェフHPF(カットオフ周波数 = 1.6MHz)
兎にも角にも中波帯の電波が強いため、受信できない電波があると中波帯を疑ってしまいます。
特に困っているのは東京マーチス(1665kHz)で、受信できるものの弱すぎて聞き取れないため、1.6MHzをカットオフ周波数とするようなHPFも作ってみました(弱いのならばプリアンプを作るべきな気がした)。
回路
作成
こちらも秋葉原で部品を購入して作ってみました。コンデンサにはフィルムコンデンサを使用しています。
今後
東京マーチスもエアバンドも弱いことは変わらないので、この周波数領域のプリアンプを作ることにします。
あと、そもそもアンテナ線にも問題があるように思っているので、一旦外さないといけないため面倒ですが、アンテナを外し、そこからの同軸ケーブルだけの場合の特性も測ってみようと思います。
何なら、ワイヤーアンテナとループアンテナも試してみたい。